区分マンション売却の費用・手数料・手取りの計算
この記事のポイント
- 売却費用の内訳: 投資用区分マンションの売却では、仲介手数料、印紙税、抵当権抹消登記費用、ローンの繰上返済手数料などの諸費用がかかります。
- 費用シミュレーション: 2,500万円で売却する場合、仲介手数料や印紙税などを合わせた費用の目安は約92〜93万円となります。
- 投資用ならではの追加コスト: 賃貸中の物件では、サブリース契約の解約違約金や入居者の敷金返還・精算、残置物撤去などの費用が上乗せされるケースがあります。
- 売却益にかかる税金: 売却で利益が出た場合の譲渡所得税・住民税は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります。
- 費用を抑える具体策: 複数社への査定依頼による比較や、電子契約の活用、売却方法(仲介・買取)の見極めによってコストを圧縮できます。
投資マンションの売却にかかる費用や手数料とは、不動産会社への仲介手数料や印紙税、抵当権抹消費用など、売却時に必要となる支出のことです。費用の種類や金額は契約内容などによって異なります。
投資マンション売却でかかる費用の総額はいくら?
投資マンションの売却では、仲介手数料・印紙税・登記費用などがかかり、費用総額は物件や契約条件によって異なります。
売却価格に対する主な費用の内訳
投資用の区分マンションを売る場合、仲介手数料・印紙税・登記費用・清算金などが発生します。賃貸中の物件であれば、サブリースや管理契約の解約に伴う費用が別途上乗せされることもあります。費用総額は売却価格だけでなく、ローンや賃貸管理契約、物件の状態などによって変わります。
たとえば3,000万円で売却する場合、仲介手数料の上限は税込105万6,000円です。これに印紙税や登記費用などが加わります。売却価格だけを見て「手元にこれだけ残る」と考えるのではなく、どんな費用が積み重なるのかを具体的に確認しておく必要があります。金額は物件の状態や契約内容によって上下するため、契約前に不動産会社へ内訳の見積もりを出してもらってください。
2,500万円で売却した場合の費用シミュレーション
実際にいくらくらいかかるのか、2,500万円で売却したケースを想定して整理してみましょう。仲介手数料は「売却価格×3%+6万円」で計算するのが一般的とされ、2,500万円なら81万円、消費税を加えると約89万円になります。ここに印紙税が加わり、契約金額1,000万円超5,000万円以下では軽減措置により1万円です[出典12]。抵当権が残っている場合は、登録免許税と司法書士報酬をあわせて2〜3万円程度の抹消登記費用も見込んでおく必要があります。
項目 | 金額の目安 |
仲介手数料(消費税込み) | 約89万円 |
印紙税 | 1万円 |
抵当権抹消費用 | 2〜3万円 |
合計 | 約92〜93万円 |
これに加えて、管理費・修繕積立金・固定資産税の清算金が発生することがあります。賃貸中の物件なら、サブリース解約に関わる費用が上乗せされる場合もあります。実際の負担額は物件ごとに差が出るため、あくまで目安として捉えてください。詳しい内訳は、次の章以降で一つずつ見ていきます。
仲介手数料の仕組みと計算方法
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仲介手数料は法律で上限額が決まっており、売却価格に応じた速算式で概算できます。
仲介手数料の上限額と早見表
不動産会社に売却を仲介してもらうと発生する費用が仲介手数料です。宅地建物取引業法に基づき、不動産会社が受け取れる仲介手数料には上限があり、売買価格に応じた速算式で計算するのが一般的です[出典1]。400万円を超える部分については「売却価格×3%+6万円」に消費税を加えた金額が上限の目安になります。
たとえば2,000万円で売却した場合は66万円に消費税を加えた額、3,000万円なら105万6,000円が上限のおおよその水準です。以下は価格帯ごとの目安です。
売却価格 | 仲介手数料の上限目安(税込) |
1,000万円 | 約39.6万円 |
2,000万円 | 約72.6万円 |
3,000万円 | 約105.6万円 |
5,000万円 | 約171.6万円 |
なお2024年7月以降、価格800万円以下の物件については「低廉な空家等」の特例として上限が引き上げられる仕組みができました[出典1]。区分マンションでも価格帯によっては該当することがあるため、契約前に不動産会社へ確認してください。あくまで上限額であり、実際の請求額はこれを下回っても構いません。
仲介手数料が発生するタイミングと支払い方法
仲介手数料は成功報酬という性質を持ち、原則として売買契約が成立しなければ発生しません。ただし、売主が特別に依頼した広告の料金や遠隔地への出張旅費などは、事前の合意に基づいて実費負担となる場合があります[出典1]。
支払いのタイミングは、売買契約締結時に半額、物件引き渡し時に残り半額という二段階が商慣習として広く行われています。全額を引き渡し時にまとめて支払う契約もあるため、媒介契約書や重要事項の説明で必ず確認してください。
注意したいのは、契約後に手付解除や違約による解除が起きた場合です。契約は一度成立している以上、状況によっては仲介手数料の支払い義務が残ります。解除の経緯によって扱いが変わるため、疑問があれば契約前に担当者へ具体的に質問しておくとトラブルを避けやすくなります。
仲介手数料を無料・減額できるケースと注意点
仲介手数料を抑える方法としてよく挙がるのが、不動産会社との交渉による減額と、そもそも仲介を使わない買取の利用です。買取業者に直接売却すれば、間に仲介が入らないため手数料自体が発生しません。ただし買取価格は仲介による売却よりも低めになりやすく、仲介と買取のどちらが得かは物件の状態や急ぎ度合いによって変わります。
一方で、手数料の値引きだけで依頼先を決めるのは避けたいところです。手数料の金額とあわせて、広告掲載先や販売活動の内容を確認し、条件を比較しましょう。
会社選びでは、提示された査定額の根拠を具体的に説明できるかを確認しましょう。近隣の成約事例やレインズへの登録予定時期、広告掲載先などを複数社に確認し、販売計画を比較してください。
仲介手数料以外に必要な諸費用
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印紙税・登記費用・清算金は仲介手数料と別枠で発生し、金額は売却価格や物件・契約条件によって異なります。
売買契約書に貼る印紙税
不動産の売買契約書は印紙税法上の課税文書にあたり、契約金額に応じた印紙を貼って納税します。区分マンションの売買では、記載金額500万円超1,000万円以下の契約書に貼る印紙税は軽減後で5,000円、1,000万円超5,000万円以下は1万円です[出典12]。2,500万円で売却する場合は、1万円が目安になります。
この軽減措置は平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される不動産譲渡契約書が対象で、期限を過ぎると本則税額に戻ります[出典4]。なお、電子契約で契約書を作成した場合は印紙税がかからない扱いになります[出典1]。紙の契約書を選ぶか電子契約にするかで数千円から数万円の差が出るため、仲介会社に確認してください。印紙は売主・買主どちらが負担するかを事前に取り決めておくと、決済当日に慌てずに済みます。
抵当権抹消費用(登録免許税・司法書士報酬)
ローンを完済して抵当権を外す登記には、登録免許税と司法書士への依頼費用がかかります。登録免許税は不動産1個につき1,000円です。敷地権付きの区分建物では、建物に加えて敷地の個数に応じた登録免許税がかかります[出典5]。抹消登記が必要な場合は、決済までに手続き方法を確認しておきましょう。
登記手続きは自分で法務局に出向いて行うこともできますが、実務では司法書士に依頼して済ませるオーナーが大半です。書類の不備で決済日に間に合わないリスクを考えると、多少の報酬を払ってでも専門家に任せたほうが結果的に安心といえるでしょう。登録免許税と合わせて、数万円程度を見込んでおいてください。時間に余裕があり法務局へ平日に出向ける方であれば、自分で申請して報酬分を浮かせるという選び方もあります。売却代金でローンを一括返済し、同じタイミングで抹消登記まで済ませる流れが一般的な進め方です。
ローンの繰上返済手数料
売却によってローンを全額返済する場合、繰上返済手数料の有無や金額は金融機関・商品・手続方法によって異なります。契約中の金融機関へ事前に確認してください。
繰上返済の手続きには、事前申込みの期限や必要書類の準備期間が設けられているケースが多く見られます。決済日の直前に申し込むと間に合わない恐れがあるため、注意してください。売買契約が成立した時点で、すぐに金融機関へ完済の予約を入れておくと安心です。抵当権抹消に必要な書類はこの完済手続きと合わせて発行されることが多いため、司法書士への依頼タイミングも合わせておきましょう。
管理費・修繕積立金・固定資産税の清算金
区分マンションの売却では、月々の管理費・修繕積立金と、年に一度課税される固定資産税を、引き渡し日を基準に売主と買主で日割りして清算するのが取引の慣行です。売主が先に支払った分のうち、引き渡し日以降の期間分を買主から受け取る形になります。
たとえば固定資産税を1月1日時点の所有者としてすでに納付済みであれば、引き渡し日から年末までの日数分を買主に負担してもらい、決済時に受け取ります。管理費・修繕積立金も同様に、引き渡し日で線引きして精算します。注意したいのは、これらの清算金は譲渡所得を計算するときの譲渡費用には含められない点です。清算金は売却代金のやり取りの一部であり、税金の計算とは別の実務として扱います。この違いを頭に入れておけば、税額計算の場面で戸惑いません。
投資用マンションならではの追加コスト
賃貸中の区分マンションは、解約違約金や敷金精算などオーナー居住用にはない費用が発生することがあります。
賃貸管理契約・サブリース契約の解約違約金
賃貸中の区分マンションを売却するときは、管理会社との契約内容も確認が必要です。一般の賃貸管理契約では、解約予告期間や違約金の有無が契約ごとに異なるため、契約書を確認しましょう。
注意したいのはサブリース契約です。サブリースはオーナーが管理会社に部屋を一括で貸し、管理会社がさらに入居者へ転貸する仕組みです。そのためオーナー側から契約を解除するには借地借家法第28条が定める「正当事由」が必要とされ、単に売却したいという理由だけでは解約できないと整理されています。
サブリース契約に中途解約条項や違約金の定めがある場合でも、オーナー側からの解約では借地借家法第28条の正当事由が問題となるため、契約条項だけで一律に判断できません[出典13]。売却を検討し始めた段階で、自分の契約がサブリースか通常の管理委託かを確認し、解約条件を管理会社や専門家に確認しておきましょう。
入居者への敷金返還と精算方法
入居者がいる状態で区分マンションを売却する場合、敷金の扱いも押さえておきたいポイントです。賃貸借契約が続いたまま所有権だけが移転する、いわゆるオーナーチェンジでは、預かっている敷金の返還義務も新しい買主に引き継がれるのが一般的な扱いとされています。
売主は、退去時の敷金返還に備えて確保していたお金を、そのまま自分の懐に残せるわけではありません。実務では、売買代金の決済時に敷金相当額を売主から買主へ引き渡し、その分を差し引いた金額を受け取る形で精算されることが多いようです。
売却価格が2,000万円で敷金が10万円だった場合、単純に考えれば手取りは10万円分減る計算になります。契約書や重要事項説明書に記載された敷金額と、実際に預かっている金額が一致しているかを事前に確認しておくと、決済当日に金額のずれで戸惑うことを避けられるでしょう。
残置物撤去やクリーニングが必要になるケース
入居者が退去済みの空室で売却する場合は、前の借主が残していった家具や家電などの残置物の撤去や、室内クリーニングが必要になることがあります。費用の目安は幅があります。水回りだけの簡易清掃なら数万円程度で済むこともありますが、部屋全体のハウスクリーニングや残置物の処分まで含めると十数万円程度になることも珍しくありません。物件の広さや汚れ具合によって、この金額差が生まれます。
一方、入居者がいるまま所有権を移すオーナーチェンジ形式であれば、買主も賃貸経営の継続を前提に購入するため、売主側でのクリーニングや残置物撤去は基本的に不要です。空室にしてから売るか、入居中のまま売るかで、この費用の有無がまるごと変わってくる点は覚えておくとよいでしょう。
この一点の判断だけで、手残り額の計算はかなり変わってきます。どちらの形で売り出すか迷う場合は、清掃・撤去費用をかけて空室で高値を狙う道と、費用をかけずにオーナーチェンジで早期売却を目指す道、その両方のシミュレーションを査定の段階で不動産会社に出してもらうと判断しやすくなるでしょう。
売却で利益が出たときにかかる税金
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売却益が出た場合、所有期間が譲渡年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで税率がほぼ倍変わります。
譲渡所得税・住民税の計算方法
売却で利益が出ると、給与所得とは別枠で計算する「譲渡所得税」と住民税がかかります。計算式は、譲渡価額(売却代金)から取得費と譲渡費用を差し引いたものが課税譲渡所得金額です[出典6]。取得費には購入代金や購入時の仲介手数料などが含まれます。譲渡費用には売却時の仲介手数料や印紙税、立退料などが該当します[出典3]。
たとえば売却価格が2,500万円で、取得費と譲渡費用の合計が2,200万円だった場合、課税譲渡所得金額は300万円です。この300万円に対して所得税・住民税がかかる仕組みで、給与収入と合算されるわけではありません。マイナスになった場合、原則として不動産の譲渡所得以外の所得と損益通算できない点も押さえておきたいところです[出典2]。賃貸中の区分マンションでは家賃収入も別枠の不動産所得として申告するため、譲渡所得の計算とは分けて考えておきましょう。
所有期間5年を境にした税率の違い
税率を左右する最大の分岐点は、築年数ではなく「所有期間」です。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得に区分され、税率がまったく異なります[出典6]。長期譲渡所得は所得税15.315%(復興特別所得税を含む)と住民税5%の合計20.315%、短期譲渡所得は所得税30.63%と住民税9%の合計39.63%とされています[出典7][出典8]。
同じ300万円の利益でも、長期ならおよそ61万円の税額です。短期になるとおよそ119万円まで膨らみ、税負担がほぼ倍に変わります。ここで注意したいのは、築20年の中古を購入して4年で売却した場合の扱いです。建物自体は築24年でも所有期間はまだ4年で、短期譲渡に該当します。築年数と所有期間を混同すると税額の見込みを大きく誤ってしまうため、購入日と売却予定日から実際の所有期間を数え直しておくと安心です。
取得費・減価償却費の考え方と注意点
区分マンションの取得費で見落としやすいのが減価償却費です。建物部分の取得費は、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します[出典6][出典14]。鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅用建物の法定耐用年数は47年ですが、中古で取得した資産などは減価償却の計算方法が異なる場合があります。実際に申告した減価償却費や取得時の条件を確認して計算する必要があります。
購入時の契約書類が見当たらず取得費が分からない場合や、実際の取得費が売却価格の5%を下回る場合は、売却価格の5%相当額を取得費とみなす概算取得費の特例を使えます[出典9]。ただし実際の取得費のほうが高いケースでこの特例を選ぶと、かえって税負担が増えることがあります。購入時の売買契約書や領収書は、売却まで大切に保管しておく方が安心です。
使える控除・特例と確定申告の流れ
居住用財産(マイホーム)を売却したときに使える最高3,000万円の特別控除は、現に住んでいる家屋や、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った家屋などが対象です[出典10]。自己居住用として使用したことのない投資用マンションは、原則としてこの特例の対象になりません。一方、以前自宅として住んでいた物件を退去後に賃貸している場合は、売却時期などの要件を満たせば適用できる可能性があります。適用可否は国税庁の要件を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。
譲渡所得金額が生じた場合は、原則として確定申告が必要です[出典2]。所得税と復興特別所得税は翌年の申告期間中に申告・納付し、住民税は申告内容にもとづいて後日別途通知される形で徴収されます。申告期間は年によって開始日・終了日が前後することがあるため、確定申告の時期が近づいたら国税庁の最新の案内で正確な日程を確認するようにしましょう。書類の準備に時間がかかることもあるので、売却が決まった段階で取得費や譲渡費用の資料を整理しておくと、申告直前に慌てずに済みます。
売却費用を安く抑えるための具体策
諸費用は仲介手数料の交渉と手続きの見極めで、条件次第で数万〜数十万円圧縮できます。
複数社に査定を依頼して手数料や条件を比較する
査定額は不動産会社によって差が出やすいものです。1社だけの提示額を鵜呑みにすると、相場より安く売ってしまう恐れがあります。区分マンションは収益還元の考え方で査定されることが多く、賃料や利回りの見立ては会社ごとに異なります。複数社に依頼して価格帯の幅を把握しておくと安心でしょう。
査定時には価格だけでなく、仲介手数料の金額や広告の出し方、販売活動の内容もあわせて確認しましょう。仲介手数料は法定の上限額であり、実際の金額は媒介契約の内容に応じて確認してください。
仲介ではなく買取を選ぶという選択肢
早く現金化したい場合や、入居者がいて内見の調整が難しい場合は、不動産会社が直接買い取る方法も検討に値します。買取では仲介を介さないため、仲介手数料そのものが発生しない点が大きな違いです。一方で買取価格は仲介での売却より低くなりやすく、収益性や賃料水準を厳しく見られる分、提示額に開きが出ることも珍しくありません。
仲介と買取のどちらを選ぶかは、手数料の有無だけでなく、想定売却価格や売却までの期間、賃貸中の管理の手間なども含めて比較する必要があります。複数社に仲介と買取の両方で見積もりを取り、条件を比較して判断しましょう。
自分でできる手続きを見極めてコストを削る
抵当権抹消登記は司法書士に依頼するのが一般的です。ただし、法務局への申請自体は所有者本人が行うことも可能です。自分で手続きすれば司法書士報酬を抑えられますが、書類の不備で決済に間に合わないと売買全体に影響しかねません。時間に余裕がある場合に限った選択肢と考えたほうが無難でしょう。
売買契約を電子契約で締結すれば、印紙税がかからない点も見逃せません[出典1]。抵当権抹消登記を自分で行う場合は、金融機関や買主側の手続きと決済日に支障がないか事前に確認する必要があります。自分で対応できる範囲と専門家に依頼すべき範囲を見極めることが、無理なく費用を抑えるポイントです。
費用面で失敗しないための注意点
売却価格から諸費用と税金を差し引いた金額が手取りとなるため、事前の資金計画が欠かせません。
売却価格がそのまま手取りにならない点に注意
売却価格がそのまま手取りになるわけではありません。実際には仲介手数料、印紙税、登記関連費用に加え、利益が出た場合の所得税・住民税などを考慮する必要があります。仮に2,500万円で売却し、仲介手数料が税込約89万円、印紙税や登記費用がかかった場合、税金を考慮する前でも諸費用分だけ手取りは減ります。
投資用マンションの場合は、賃貸管理契約の解約に伴う費用や、入居者との敷金精算が加わることもあります。売却価格だけを見て使い道を決めてしまうと、想定より手元に残る金額が少なく、次の投資や返済計画に支障が出かねません。売買契約を結ぶ前に、不動産会社へ手取り額のシミュレーションを依頼し、費用と税金を差し引いた実質的な金額を確認しておくと安心です。
ローン残債が売却価格を上回るケースへの備え
売却前に確認しておきたいのが、ローンの残債と売却価格の関係です。売却価格が残債を下回る、いわゆるオーバーローンの状態では、売却代金だけでは抵当権を抹消できず、そのままでは通常の売却を進められません。この場合は自己資金から不足分を補填するか、金融機関へ返済方法を相談する必要があります。
金融機関によっては、残債の状況に応じた相談に応じてくれるところもありますが、対応は契約内容や金融機関の判断によって異なるようです。売却活動を始める前に、金融機関から残債の正確な金額を確認し、想定売却価格と照らし合わせておくと、後々のトラブルを避けられます。残債が上回りそうな場合は、売却時期を見直す、あるいは資金の準備方法を早めに検討しておくとよいでしょう。
諸費用を見落として資金計画が狂うリスク
仲介手数料や税金だけでなく、管理費・修繕積立金・固定資産税の清算金、抵当権抹消登記の登録免許税や司法書士報酬、ローンの繰上返済手数料なども確認が必要です。金額や精算方法は契約内容によって異なるため、見積もりに含めて資金計画を立てましょう。
こうした費用は金融機関や契約内容によって差があるため、あらかじめ一覧にして総額を把握しておくと安心です。投資用マンションでは、サブリース契約の解約に関わる費用や残置物の撤去費用など、自宅の売却にはない項目が加わる点も見落としやすいポイントといえます。契約を進める前に、不動産会社や司法書士に諸費用の内訳を確認し、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。
まとめ
投資用の区分マンションを売却するときは、仲介手数料・印紙税・登記費用に加え、ローンや賃貸管理契約の条件によって追加費用が発生します。売却前に費用の内訳とローン残債を確認し、譲渡所得が生じる場合は所有期間や減価償却を踏まえて税額を確認しておきましょう。
※掲載内容は執筆時点の情報です。最新情報は各自治体・関係機関の公式ホームページをご確認ください。
出典
- [出典1] 消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ — https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- [出典2] 不動産等を売却した方へ|令和7年分 確定申告特集 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/fudousan.htm
- [出典3] No.3255 譲渡費用となるもの — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
- [出典4] No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm
- [出典5] No.7191 登録免許税の税額表|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- [出典6] No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm
- [出典7] No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- [出典8] No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
- [出典9] No.3258 取得費が分からないとき|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
- [出典10] No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- [出典11] 減価償却資産の耐用年数等に関する省令 | e-Gov 法令検索 — https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
[出典12] No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
[出典13] 賃貸住宅管理業 よくある質問(FAQ)|国土交通省 関東地方整備局 — https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/index00000029.html
[出典14] No.3261 建物の取得費の計算|国税庁 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
監修・執筆
鳰川 弥
宅地建物取引士
私営業スタイル ~接客時に大切にしていること~
いつでもお客様のご相談にお答えできるよう、横浜元町店の開店時に会社からすぐ近くの場所に引っ越してまいりました。それ程この仕事が好きな訳ですが、その根底には「お客様のお役に立ちたい」という想いがございます。
「お客様の幸せに繋がるご提案をさせていただき、お客様の笑顔に繋げるお手伝いをする。」今後もお客様のお役に立てるよう、より一層の精進を重ねてまいります。